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小池都知事の座右の書「失敗の本質」を書いた、野中郁次郎についてわかったこと

2017年7月に行われた東京都議会議員選挙は、小池百合子率いる都民ファーストの会勝利に終わった。

メディア等でも様々な盛り上がりを見せた今回の選挙だが、今回はその話題の中心にいた小池百合子の座右の書でもある「失敗の本質」を書いた、野中郁次郎についてまとめてみたい。

 

「失敗の本質」とは

失敗の本質は戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎らの共著であり、敗戦の原因は何か、今次の日本軍の戦略、組織面の研究に新しい光をあて、日本の企業組織に貴重な示唆を与える一冊である。

初版からはかなりの時間が経っているが、 2011年の東日本大震災の際に多くの有識者が記事などで引用したこと、2016年9月の記者会見の際に小池都知事が座右の書に上げたことなどからいま再び注目が集まっている。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

 
近年では、サントリーホールディングスブラザー工業三菱地所など、さまざまな大企業の経営者が愛読書に挙げていることでも知られている。
そんな本書は、第二次世界大戦大東亜戦争)のノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナルインパール、レイテ、沖縄における日本軍の戦いを検証し、大敗を喫した「失敗の本質」を分析した一冊だ。
その内容が、ビジネスパーソンや政治家から絶賛されるには、相応の理由がある。
軍隊は組織論を語る上で恰好のモデルケースだ。秩序だった組織形態、上意下達のシステム、結果の明確さ。さらに言えば、本書は古典に比べて近代的な組織がモデルケースになっている点も、現代の戦略観にマッチしているのかもしれない。小池百合子都知事の“座右の書”『失敗の本質』が見据える、組織的な失敗が起きる理由 | ビジネスジャーナル

 野中郁次郎とは

では、そんな失敗の本質を書いた野中郁次郎とはどんな人物なのだろうか。

野中 郁次郎(のなか いくじろう、1935年5月10日 - )は、日本の経営学者。一橋大学名誉教授、日本学士院会員。知識経営の生みの親として知られる。2002年に紫綬褒章受章。元組織学会会長。

野中郁次郎 - Wikipedia

1935年に生まれ、終戦の頃の野中少年は10歳。

東京都墨田区出身で、太平洋戦争中、疎開先の静岡県吉原村で笑いながら機銃掃射を行う米兵の姿を見て復讐を誓ったという。

大学卒業後、富士電機製造株式会社に入社。

会社で様々な業務を担当する中で、経営学の手法がすべてアメリカからきていることに気づき、アメリカ留学を決意。1967年にカリフォルニア大学バークレー校経営大学院に進学。当時32歳であった。

経営学修士MBA)を取得し、5年後の1972年には博士課程を終了。博士号を取得している。

その後、南山大学防衛大学校一橋大学北陸先端科学技術大学院大学で教鞭をとりながら、三井物産株式会社取締役、セブン&アイ・ホールディングス取締役なども歴任している。

 

防衛大学校にて日本軍研究の成果がのちに「失敗の本質」として出版されることになる。

 

知識経営の生みの親として知られており、言語化できない主観的な知識である「暗黙知」と言語化することができる客観的な知識である「形式知」について分析し、さらにこの暗黙知形式知のダイナミックな連動を理論化したSECIモデルは、あまりにも有名である。

 

代表的な著書

代表的な著書をいくつか紹介したい。

知識創造企業

一つ目は、野中を有名にした「知識創造企業」である。

知識創造企業

知識創造企業

 

野中郁次郎、竹内弘高の共著であり、 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともいわれた当時の日本企業の成功の要因を知識の視点から分析し、新たに知識創造理論を提唱した。

本書に掲載されている、松下電器のホームベーカリーの開発の事例はまさに日本的な知識創造のプロセスを表しているといえる。

そのプロセスで様々な知識変換が行われている。

  • 開発者が熟練パン職人からパン生地の正しい練り方を体験共有により習得した(暗黙知から暗黙知の変換)
  • その動きのメンタルイメージを「ひねり伸ばし」という言葉で説明(暗黙知から形式知への変換)
  • 「ひねり伸ばし」というコンセプトとエンジニアたちの技術的知識が一緒になりホームベーカリーのプロトタイプを作成(形式知から形式知への変換)
  • そのプロトタイプをさらにつぎのサイクルへ

このようなサイクルが絶えず起きること、すなわち知識創造スパイラルが起きることが知識創造企業には大切である。

 

知識創造経営のプリンシプル―賢慮資本主義の実践論 

もう1冊は、野中郁次郎、紺野登共著の「知識創造経営のプリンシプル―賢慮資本主義の実践論」である。

 

知識創造経営のプリンシプル―賢慮資本主義の実践論

知識創造経営のプリンシプル―賢慮資本主義の実践論

 

これは「知識創造企業」から20年後、世界のお手本とされた日本企業は傾き始めている。

「知識創造経営」を今日の文脈に置き直し、経営学としてのジャンルを超えて多面的に分析し、実際の企業経営・働き方でも活用できるプリンシプル(原理・原則)に
まで昇華させたたものである。

 

ビジネスモデル・ジェネレーションやデザイン思考、フューチャーセンターなどにも言及されている他、「都市」を切り口にしたイノベーションサステナビリティについても述べられている。

最後に思うこと

野中郁次郎の著書は名著が多い。しかし、本をよむことそれ自体は単に他人が書いた形式知をなぞっているだけのように思う。

この形式知をどう暗黙知に変換させ、実践知としていくのか。

日本的な徒弟制度も馬鹿にはできないし、飲みニケーションやらの対話の場も重要なのではないか、と感じている。

というわけで、暗黙知をぶつけあうための飲み会にも一生懸命になりたいと思う。

聞いた話によると、野中郁次郎も「暗黙知を共有しよう」とよく飲み会に繰り出していたそうだ。